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少し遅れましたが、今日の日記。

今日はゼミの発表日…なんですが、レジュメの印刷とか全部昨日で終わらせてしまったので、ゼミの発表日とは思えないほどの平穏。
普通なら、詰めの話し合いをして、レジュメ印刷して…っててんてこ舞いのはずなのに…
いや、まぁ自分は別の意味で忙しかったんですが…

3限、今日のゼミじゃなくて来週のゼミの発表の話し合い。
生協で待ち合わせて図書館のグループ学習室で話し合い。

どうなるかと心配してましたが、3年生が頑張ってくれてなんとか発表者の考えをまとめることができました。
4年生の特権で自分はレジュメをほとんど書かなくていいのでラクチンです。
とりあえず発表の分担だけ決めて今日は終了。

5限、ゼミ。
こっちが本番の発表です。

今日は動産譲渡担保の話です。
おそらく、夏学期中で一番難しい判例のはず。
でも、今回の発表の準備はかなり上手くいったと思います。結局6回くらい集まったのかな?
しかも毎回3時間以上話し合ってたし、そういった意味で量的に充実させることができたと思います。発表者の意思疎通を取るのもラクチンでした(回数が多いので)。

難しい判例だったのであまり質問は出ませんでしたが、先生からいくつか興味深い質問が出たので、それに答えるという形でゼミは進みました。

んで終了。
帰り際、先生に発表をほめていただきました。かなりよかったみたいです。そういえば、自分の私見のところ、えらく感心してたなぁ…

あ、続きで発表したレジュメを載せておきます(誤字がかなりありますが)。
かな~り難しいですが、それでも興味がある人は是非ご覧ください。
自分と友人の努力の結晶です。

さて、発表が終わって、今日はいつもの男メンバー4人で国立駅北口のカレー屋に行ってきました。
本格インドカレーで、ナンと一緒にカレーを食べる形式です。
こんな感じ↓

本格インドカレー


これで1800円。
まぁちょっと高いかな?
でも充実の食べ応えです。
しかもおいしい!
インド人、やるな。

んで食事を終えて8時に解散。
帰宅。





さてさて、何気に今週の日曜日にまた人生を決めるテスト第2弾があります。
ぶっちゃけ背水の陣です。
頑張ります。

そろそろ勉強始めないとな…(え?)

今日はこの辺で
☆GOODNIGHT☆(;д;)ノ~▽''。・゜゜・
動産譲渡担保
Ⅰはじめに

Ⅱ事案と判旨

Ⅱ-1 事件の概要

Ⅱ-2 判旨

Ⅲ契約1 動産譲渡担保権者同士の関係

Ⅲ-1 譲渡担保の法形式によらない契約の譲渡担保認定

Ⅲ-2 動産譲渡担保の後順位譲渡担保権者

Ⅲ-3 後順位譲渡担保権者を認めることの意味

Ⅳ契約2 集合物譲渡担保権者と譲受人との関係

Ⅳ-1 集合物理論

Ⅳ-2 集合物譲渡担保権者と譲受人との関係

Ⅳ-3 私見



































Ⅰ はじめに

 昨今、これまでの金融機関融資が不動産担保や個人保証に過度に依存していたことからの反省から、ひとつには金融機関の審査能力の向上によって企業の将来性や技術力を的確に評価することで不動産担保本位主義から脱却することがテーマとなり、次に、企業の在庫商品や所有する機械器具などの動産を担保にする融資手法(ABL)の推進が提唱されるようになった。
 しかし、不動産と違って企業の所有する在庫商品等の動産は、企業活動が順調に行われているならば、その内容は次々に入れ替わってゆくことになる。このように、目的物の内容が日々刻々と変動する動産を担保の目的とすることができるか、という問題があり、その解決として「集合物」の観念が認められていた。しかし「集合物」の捉え方についてはいくつかの見解があり、その公示方法も不十分であり、動産物権変動とりわけ占有改定と即時取得という論点も関連するなど、なお解明されるべき問題も少なくない。
 こうした状況の中で現れた本件判決は、判例が承認している集合物動産の譲渡担保権に関連するいくつかの問題点について最高裁の立場を明らかにしたものであり、実務上、重要な意義を有するものである。


Ⅱ 事案と判旨

Ⅱ-1.事件の概要
 Yは、まずAとの間で、黒瀬漁場、串間漁場他にYの所有するいけす内の養殖魚全てを目的とする流動集合物譲渡担保契約を締結した。次いで、Bとの間で、黒瀬漁場に存在するY所有のいけす内の養殖魚を目的とする集合物譲渡担保契約を締結した。さらに、Cとの間で、黒瀬漁場、串間漁場他にYの所有するいけす内の養殖魚全てを目的とする集合物譲渡担保契約を締結した。

 その後、Yは、Xとの間で以下のような契約を締結した。(以下契約1という)
① 黒瀬漁場内の特定の21基のいけす内のブリの養殖魚13万5212尾をXに売却する。売買代金はYのXに対する債務に充当する。(相殺をする)
② Xは、買い取った養殖魚の飼育管理をYに委託する。
③ Yは、預託された養殖魚をXから買い戻し、これを加工して販売する。買戻代金は、YからXへの加工代金との清算をもって行う。

また、YとXはさらに以下のような契約を締結した。(以下契約2という)
① Yの所有する養殖ハマチ27万2566尾を1kgあたり650円でXに売却する。
② H15年7月31日までに全ての目的物をいけすから移動する。

契約1、2の目的物はいずれもA,B,Cとの間に締結した譲渡担保の目的物でもあった。

 Yは、H15年7月30日、東京地裁に民事再生手続開始の申し立てをし、同年8月4日、同開始決定がされた。
 そこで、Xは、Yに対して、所有権に基づいて契約1、2の目的物であるブリとハマチの引渡しを求めた。
 これに対し、Yは、①契約1,2は譲渡担保契約であり、②契約1,2に先立って養殖魚にはA,B,Cの譲渡担保設定を受け、対抗要件(占有改定)を受けているから、Xは即時取得の要件を満たさない限り、契約1,2の目的物は取得できない、と主張した。
※ 民事再生手続が開始された場合においては、Xが目的物の引渡しを受けるためには、契約1,2が真正の売買契約で、Xが所有権を取得していなければならない。(民事再生法52条1項にいう「再生債務者に属しない財産」にあたらない。)

 原審:Xの請求認容
① 契約1,2は売買契約を本体とする契約であり、これを譲渡担保とすることは出来ない。 
② 集合物譲渡担保契約においては、譲渡担保設定者は「通常の営業の範囲内」において第三者に目的物を売却することが出来る。
 とし、契約1,2は通常の営業の範囲内の売買契約であるから、A,B,CとYの集合物譲渡担保契約に関わらず、XはYに引渡しを求めることが出来るとした。
 そこで、Yが上告受理申立て。

Ⅱ-2.判旨
 原審を取消し、一部破棄自判、一部破棄差戻し。

 契約1については、「YからXへの原魚の売却と同時に、XからYへの原魚の預託が行われるため、契約時に目的物に対する直接の占有は移転せず…当初の原魚の売買代金は、XのYに対する既存の債権に充当するものとされており、現実の代金の授受が行われていないこと、原魚を現実の商品として第三者に販売しようとする際には、いったんYからXから買い戻したうえ、改めてYからXに対し加工品として販売するものとされており、実質的には、この加工販売代金との精算をもって、XのYに対する既存の債権の回収が行われることになること」などを理由にあげ、契約1は譲渡担保契約であるとした。
 しかし、契約1の私的実行については、契約1に先立って「A、B及びCのために本件各譲渡担保が設定され、占有改定の方法による対抗要件が具備されているのであるから、これに劣後する譲渡担保が、Xのために重複して設定されたということになる。このように重複して譲渡担保を設定すること自体は許されるとしても、劣後する譲渡担保に独自の私的実行の権限を認めた場合、配当の手続が整備されている民事執行法上の執行手続が行われる場合と異なり、先行する譲渡担保権者には優先権を行使する機会が与えられず、その譲渡担保は有名無実のものとなりかねない。このような結果を招来する後順位譲渡担保権者による私的実行を認めることはできないというべきである」とした。
 よって、Xの請求には理由がないとした。

 また、契約2については、「譲渡担保契約であると解すべき根拠はないから」、真正な売買契約であるとした上で、契約2の目的物の所有権を取得したといえるかを検討している。
 まず、「構成部分の変動する集合動産を譲渡担保においては、集合物の内容が譲渡担保設定者の営業活動を通じて当然に変動することが予定されているのであるから、譲渡担保設定者には、その通常の営業の範囲内で、譲渡担保の目的を構成する動産を処分する権限が付与されており、この権限内でされた処分の相手方は、当該動産について、譲渡担保の拘束を受けることなく確定的に所有権を取得することができると解するのが相当である」とした。
 そのうえで、「対抗要件を備えた集合動産譲渡担保の設定者がその目的物である動産につき通常の営業の範囲を超える売却処分をした場合、当該処分は上記権限に基づかないものである以上、譲渡担保契約に定められた保管場所から搬出されるなどして当該譲渡担保の目的である集合物から離脱したと認められる場合でない限り、当該処分の相手方は目的物の所有権を承継取得することができないというべきである」とした。
 そして、契約2の目的物が「本件各譲渡担保の目的である集合物から離脱したと解すべき事情はないから」、契約2による売却処分が通常の営業の範囲を逸脱していたどうかを判断させるために原審に差し戻した。


Ⅲ 契約1 動産譲渡担保権者同士の関係

Ⅲ-1.譲渡担保の法形式をとらない契約の譲渡担保契約認定
本判決の契約は、どちらも形式的には譲渡担保契約ではない。実際、原審は、売買を含むものであると判断した。しかし、判例は契約1については、形式的には再売買予約付売買契約であるにもかかわらず、「YからXへの原魚の売却と同時に、XからYへの原魚の預託が行われるため、契約時に目的物に対する直接の占有は移転せず…当初の原魚の売買代金は、XのYに対する既存の債権に充当するものとされており、現実の代金の授受が行われていないこと、原魚を現実の商品として第三者に販売しようとする際には、いったんYからXから買い戻したうえ、改めてYからXに対し加工品として販売するものとされており、実質的には、この加工販売代金との精算をもって、XのYに対する既存の債権の回収が行われることになること」などを理由に譲渡担保であると認定している。
この認定には、買戻しの方式で目的物を利用できることや、Yの支払い不能時にXの売却処分を予定していることを理由に肯定的に捉える意見もある。(丸山)
また、形式的には売買契約である契約を譲渡担保であるとして例として、この判決に先んじて、目的物は不動産であるが、買戻特約付売買契約を譲渡担保とした判例(H18.2.7)があるが、それと併せて売渡し担保(買戻し+再売買の予約)概念は不要となり譲渡担保に一元化されることになったとの意見もある。(片山)

※ 買戻し(民579条~585条)…この特約をつけることで、買主が費用を償還して売買を解除することが出来る。(579条)

最三判平成18.2.7(以下2.7判決という)
「真正な買戻特約付売買契約であれば、売主から買主への目的不動産の占有の移転を伴うのが通常であり、民法も、これを前提に、不動産の果実と代金の利息とは相殺したものとみなしている(579条後段)。そうすると、買戻特約付売買契約の形式が採られていても、目的不動産の占有を伴わない契約は、特段の事情の無い限り、債権担保目的で締結されたものと推認され、その性質は譲渡担保契約と解するのが相当である。」

 しかし、この認定には反対する意見もある。
それによれば、対等な企業間の採る「法形式」への介入は「法的安定性」、「予測可能性」の観点から慎重であるべきだという。また、2.7判決は、精算金債権を免れる目的や高利貸付金回収の目的があったため譲渡担保認定をすることによりそれから債務者を救済する必要があったが、本判決はそのような事情はなく、「債務者救済の目的」は必要が無い。(渡部)
また、2.7判決の目的物であった不動産のように、占有の有無だけで担保目的を推認するわけにはいかない。例えば、先物買いして、大きくなるまで預けておくことはありうる。(田高)
それに、本件契約は、Yが買い取った魚をXに加工させ第三者に卸売りする。&買戻しの代金支払いは加工代金と相殺をもってなす点は、譲渡担保における買戻しとは異なるということも指摘される。(田高)

私見
 確かに、対等企業間の決めた法形式というのは、最大限尊重するのが私的自治の原則にも合致するだろう。しかし、それは契約の法形式について当事者の意思の合致が前提としてあるからであろう。本事案のように、契約の性質において争いのあるような場合は、当事者の意思の合致があったかは不明であるのだから、どのような意思の合致があったか推定するのが契約解釈として妥当かということが問題になるのであって、必ずしも法形式通りに契約を認定すべきとはいえない。
一方、本判決の行った判断は譲渡担保の認定に関して再売買の予約と譲渡担保の関係について必ずしも一般的判断を行ったとも言いいきれないように思える。本判決は、再売買の予約があったこと以外の要素も加味して判断しているような気もする。
では、契約1が譲渡担保であるという判断は、契約解釈として妥当だろうか。確かに、動産である場合は不動産のように占有の有無だけで担保目的を推認することは出来ない。しかし、Xは、契約期間内には目的物を受け戻せることが前提となっていることや、Yの支払い不能時に初めて目的物が利用できなくなることを予定していることも併せて考えれば、債権担保の目的の契約であったということが言え、やはり譲渡担保と考えるのが妥当だと思われる。


Ⅲ-2 動産譲渡担保の後順位譲渡担保権者
(1)後順位担保権者の成否
本判決は、契約1に先立って「A、B及びCのために本件各譲渡担保が設定され、占有改定の方法による対抗要件が具備されているのであるから、これに劣後する譲渡担保が、Xのために重複して設定されたということになる。このように重複して譲渡担保を設定すること自体は許されるとしても……」と述べている。
この最高裁の判示は、動産について後順位の譲渡担保権の成立を前提にしているということができる。
しかし、後順位担保権者の成立を認めるかどうかについては、従来から議論のあるところのようである。
譲渡担保が二重以上に設定された場合後順位譲渡担保権者が成立するのかについては、譲渡担保の法律構成をどのように考えるかということと関わっている。そこで、各々の譲渡担保の法律構成からこの点についてどのような結論が導かれるのかをまず紹介する。

ア)所有権的構成
 所有権的構成は、譲渡担保の目的物の所有権が譲渡担保権者に移転するという形式をとっていることを重視する立場である。目的物の所有権は譲渡担保権者に完全に移転していると捉える。もっとも、所有権移転が債権担保の目的でされていることを無視するわけではなく、譲渡担保権者は移転を受けた所有権を担保目的を超えて行使し得ない。ただ、この拘束は債権的なものにとどまると考える。
 この見解によれば、譲渡担保が二重に設定され、対抗要件が備えられた場合、設定者は物権的には無権利者となり、譲渡担保権者が目的物の所有者を取得するから、あとから第三者が譲渡担保の設定を受けたとしても(即時取得成立の場合を除けば)その第三者は所有権を取得できず、譲渡担保権者たる地位を取得できないと考えることになる。つまり、後順位担保権者は理論上ありえないと考えられている。

イ) 担保権的構成
 担保権的構成は、譲渡担保が債権担保を目的としているにすぎないことを重視する立場である。譲渡担保権者を完全な所有権者とはせず、他方設定権者にも何らかの物権が帰属していると解する。
 この担保権的構成を採る学説は、大きく二つに分けることが出来る。

①抵当権説など担保権的性質を重視する立場
まず一つの考え方は、譲渡担保権者に所有権が移転することはなく、譲渡担保権者はただ目的物につき担保権を取得するにとどまり、所有権は設定権者にあると考える説である。
この見解によれば、譲渡担保が設定されても、所有権は設定者にあり、譲渡担保権者は担保権を取得するにすぎないと考えるから、二重以上の譲渡担保権の設定はありえることになる。

②設定権留保説(折衷的に考える立場)
 もう一つの考え方は、譲渡担保が債権担保目的であることを重視しつつも、目的の所有権が形式的には移転している点を一応は尊重する折衷的な考え方である。その中で最近有力なのが道垣内先生の主張なさる設定権留保説である。
これは、譲渡担保権者に一応は目的物の所有権が移転することを認めるが、ただそれは債権担保の目的に応じた部分に限られ、残りは設定者に留保されていると考える説である。つまり、設定者は所有権マイナス担保権という目的物に関する物権(設定者留保権という)を有していると考えるのである。(道垣内)従来の判例実務との乖離を小さく出来る点が評価されてきた。
道垣内先生は、目的物の所有権は譲渡担保権者に移転しているとことから、後から譲渡担保の設定を受けたものは後順位担保権者の地位を取得しないと考えている。後順位者は設定者留保権を担保目的で取得するにとどまると解している。

私見
 以上のように学説をいくつか紹介してきたわけだが、後順位者の存在を認めるかどうかは、結局のところ担保としての機能と所有権移転という形式のどちらをどれくらい重視するかという問題と関係があると思われる。
 譲渡担保は、もとより動産抵当としての役割を担ってきた。
また、本件のような動産譲渡担保については、昨今不動産担保本位から脱却し、ABLの推進が提唱されているなど動産の担保がさらに重要性を増しているようである。そのことからいっても担保としての実質を重視した構成をとりたい。
よって、後順位担保権者の存在を認めても良いと考える。

(2)動産譲渡担保の対抗要件と順位の決定
 動産譲渡担保の対抗要件は、通説は「引渡し」であるとしている。そして、通説は178条の「引渡し」には占有改定(183条)が含まれると考えている。譲渡担保の成立に設定者の占有を必要とする以上は、占有改定によることになる。
 これによれば、譲渡担保権者の順位は、占有改定の順番によることになる。


(3)動産譲渡担保権の第一順位(あるいは譲渡担保権)の即時取得の可否
 本判決は、「被上告人が即時取得により完全な譲渡担保を取得したということも出来ない」と述べており、後順位譲渡担保権者が譲渡担保の目的物を即時取得(192条)することによって、第一順位の譲渡担保権を取得するとも読むことが出来る。(渡部)
 しかし、譲渡担保は、目的物の占有は移転せず、占有改定の方法によって対抗要件を備えることになっているので、即時取得できるとしてもそれは占有改定によることになる。したがって、譲渡担保権の順位(後順位譲渡担保権者を認めない立場からは譲渡担保権)の即時取得は、占有改定による即時取得が可能かという従来から議論のある問題になる。
ただ、譲渡担保の二重設定の場合に限って他の物権とは区別している学説もある。
 
ア)占有改定による即時取得について譲渡担保の場合と他の物権変動を区別しない立場
① 占有改定による即時取得肯定説
この説は、占有改定による即時取得をみとめるものである。動産の占有者の占有を信頼したものの取得した効力によってそれが認められているのではないとする。つまり、近代的な即時取得は動産の占有者の占有を信頼したものを保護する制度、すなわち占有の公信力によって信頼したものの権利取得が認められる制度であるとする。これに対しては、占有改定をした者を保護しすぎであるという批判がなされている。
この説を譲渡担保の二重設定のケースにあてはめると、占有改定により譲渡担保の対抗力を備える際に、善意無過失であれば第一順位を取得することになる。 
② 占有改定による即時取得否定説
判例もこの立場を採っている。その理由としては、対抗要件としての「引渡し」(178条)と権利取得要件である「占有」(192条)とは分けて考えるべきであり、外観上の変更をきたさない占有改定では即時取得の要件を満たさないということが挙げられている。 
ただ、この説に立っても、現実の引渡しの際に善意無過失ならば、それによる権利の取得は可能である。
③ 折衷説
この説は、占有改定で一応即時取得は成立するが、まだそれは確定的ではなく、現実の引渡しを受けることによって確定的になるとする。否定説との違いは、占有改定によって一応即時取得が成立するから、担保権設定の際に善意無過失であれば現実の引き渡しの際に権利を確定的に取得することになる。

イ)占有改定による即時取得について譲渡担保の場合と他の場合で区別して考える立場
 学説の中には、売買取引のような通常の物権変動の場合では占有改定による即時取得否定説に立ちながらも、譲渡担保の二重設定のみについては特殊な類型であるとして、通常の物権変動の場合とは異なる帰結を導くものがある。

① 槇説
槇先生は、譲渡担保の二重設定の場面は、譲渡担保権者という取引競争者同士の争いであるから、譲渡担保権者はそれぞれ同順位の関係に立ち、善意で現実の引渡しを受けたときに優先権を取得するとする。これには、即時取得は物権秩序の問題であるから、取引競争の話を持ち出すのはおかしいとの批判がある。

② 安永先生の意見
設定者が支払い不能の段階になって、善意無過失の後順位者がいち早く駆けつけたが目的物の現実の引渡しの前に実は先順位者に譲渡担保に供していたことが知らされてしまった場合、否定説からは現実の占有取得後も先順位者の地位を取得できないとなるが、それは不当であるかもしれない。二重の譲渡担保権設定においては、現実に金銭の融資をする時点で善意無過失であることを考慮すべきかもしれないと述べている。

私見
 物権変動一般については、192条の「占有」は信頼保護の要件としての一定の資格であり、占有改定のような外部から認識できない占有取得ではなお譲受人に保護する資格を与えるには足りないとして否定説を採るべきである。
 しかし、動産譲渡担保の場面では、動産譲渡担保権は公示のない担保であり、後順位者も一定程度保護すべきと考えられるから、安永先生のように解するのがよいだろう。



Ⅲ-3.後順位譲渡担保権者を認めることの意味
(1) 後順位譲渡担保権者による私的実行の可否
 本判決は、「重複して譲渡担保を設定することは許されるとしても、劣後する譲渡担保に独自の私的実行の権限を認めた場合、配当の手続が整備されている民事執行法上の執行手続が行われる場合と異なり、先行する譲渡担保権者には優先権を行使する機会が与えられず、その譲渡担保は有名無実のものとなりかねない。このような結果を招来する後順位譲渡担保権者による私的実行を認めることはできないというべきである」と述べて、後順位譲渡担保権者の私的実行を否定した。
 私的実行…譲渡担保では債権者と債務者の当事者間の合意により、目的物を債権者に帰属させて価額的な精算をする。このように、執行機関を介さない担保実行の仕方。

この判示には、反対する意見(渡部)もある。その論旨は以下のようなものである。
 判例上、譲渡担保権者が目的物の売買代金に対して民事執行法193条に基づく差し押さえをすることができることになっている。そうだとすると、先順位譲渡担保権者も後順位譲渡担保権者も193条に基づく差押が当然できるはずである。後順位譲渡担保者が物上代位した後、先順位譲渡担保権者が同じ債権に193条により物上代位することができるはずであり、そうすれば当然に配当手続に入ることになるはずである。
 また、後順位担保権者の存在を認めるならば、当然にその実行方法も示すべきで、少なくともその実行方法として民事執行法190条(動産担保権の実行としての競売)による差押えと民事執行法133条(配当要求)の類推適用を認めるべきである。
さらに、後順位譲渡担保権者の「私的実行」を認めても、先順位動産譲渡担保権者に「第三者異議訴訟」(民執38条)による執行排除を認めれば先順位譲渡担保権者の利益を守ることは可能である。設定者による「先順位譲渡担保権者の存在」の抗弁の主張を認める結果(動産引渡請求が棄却となる)を招く本判決より、はるかに合理的といえる。
 なぜなら、四重の動産譲渡担保権を設定した設定者自身に、第一順位以外の3名の複数譲渡担保権者の動産引渡請求に対し、「先順位譲渡担保権者の存在」の抗弁適格を認め、そのいずれも棄却すると、当該複数後順位譲渡担保権者からすれば、そもそも事情によっては「背任」に近い行為を行った設定者自身による「事実上の配当手続」に期待するほかないことになってしまうことになるからである。
 このように、後順位譲渡担保権者の引渡請求を認めたうえで、不服のある利害関係人である先順位譲渡担保権者による第三者異議訴訟を認めるほうが、論理的にも簡明であるし、設定者自身の不正も防止できる。

 民事執行法メモ
 
第三者異議の訴え(38条)
 強制執行において、債務者以外の第三者の財産が差し押さえられた場合、その第三者が、差押目的物につき、所有権その他譲渡または引渡しを妨げる権利があることを主張し、あるいは担保権の実行手続において、債務者または所有者が担保件の目的以外の物に執行がなされたと主張し(194条)、その不当な執行の排除を求める請求を言う。判例は、譲渡担保権者がこの訴えをなすことを認めている。(先週のゼミでやった事件もこれによる)

動産執行における配当要求(133条)
 動産執行が行われた際に、動産の売却代金から満足を得るためにする債権者の申し立て。配当要求ができるのは、明文上、先取特権者と質権者に限られている。したがって、譲渡担保権者の配当要求は本条の類推適用の場面となる。これを認めるかどうかについては争いがある。

動産担保権の実行(190条)
 190条は、動産担保権の実行は、債権者が執行官に目的財産を提出したとき、または占有者の差押承諾を証する文書を提出したときに限り、開始されるとしている。この要件を満たせば、執行官が目的動産の占有を取得し、差押が行われる。

債権その他の財産権についての担保権の実行、あるいは物上代位(193条)
担保権の実行あるいは物上代位の行使は、原則として債権に対する強制執行に準じて行われる。


私見
 渡部先生の意見について検討してみる。
 後順位担保権者の存在を認めるならば、その担保としての意味を先順位担保権者を害さない範囲で最大限保障すべきであると思う。
まず、私的実行ではなく、民事執行法上の競売手続などによって処理することについては、
 渡部先生が、民事執行法190条による担保権実行としての動産の競売を認めると述べている。このことについては、私見としては担保的構成を重視するから、担保権の実行と同視して認めてよいと思われる。後順位譲渡担保権者もこれを行えると考える。
 このとき、先順位譲渡担保権者は、133条類推適用により、配当要求をすることができるとすれば、先順位譲渡担保権者を害さず、問題は生じない。133条の類推が出来るかは争いがあるが、133条が配当要求ができるものを質権者と先取特権者に限ったのは、非典型担保については立法当時その権利内容をめぐる議論がなお固まっていなかったためであり(上原)、必ずしも非典型担保の担保権者を排除する趣旨であるとはいえないことから認めても良いと思われる。
 では、「私的実行」を認めたうえで、第三者異議の訴えで処理するという意見についてはどうだろうか。
 第三者異議の訴えは、本来、民事執行法上の執行手続において自らの権利主張をすることを念頭に置かれている制度だから、これを私的実行の場面でも適用できるのだろうかということについて疑問がないでもない。
 
(2) それ以外の実益
 私的実行以外に後順位譲渡担保権者を観念する意味は他にあるだろうか。
 まず考えられるのが、先順位担保権者が実行した後の設定者の精算金請求権に優先権を行使するということが考えられる。(道垣内、田高)たとえば、譲渡担保が二重に設定されている場合、第一順位者が担保権を実行すると、設定者への精算金の返還義務が譲渡担保権者に発生することになるが、これに対して第二順位者が差押をしたりして優先的に自己の債権の満足を得るといったことである。
 ただ、判例の手続が整備されていないという理由は、この場合も妥当しそうではある。(道垣内)
 もうひとつは、先順位者の被担保債権の弁済によって先順位譲渡担保権が消滅したとき、当然に順位上昇の利益を得られるということも考えられる。(道垣内)たとえば、第一順位者の被担保債権が弁済された場合、第二順位者が第一順位者に繰り上がるというようなことである。


私見
 精算金請求権に対して、優先権を行使することについては、先に述べたように、動産譲渡担保は、動産抵当としての役割を担ってきたのだから、抵当権で後順位者が満足を得られる以上認めていくべきではないかと思う。
 順位の上昇については、これを認めることに不都合はないように思える。目的物を担保に供している以上設定者を害することもないし、後順位譲渡担保権者の担保への期待にも応えられる。
また、他には、抵当権のように、譲渡担保の順位の放棄、譲渡なども考えられるかもしれない。




Ⅳ 契約2 集合物動産譲渡担保権者と譲受人の関係

Ⅳ―1. 集合物理論

 流動集合動産譲渡担保では担保目的物となっている動産が処分される機会はきわめて多いと推測される。よって、集合動産譲渡担保権設定者(以下、設定者とする)は集合物を組成する個別動産を分離・搬出・処分できるか、その場合に集合動産譲渡担保権は侵害されたといえるのか、侵害された場合にどのような救済手段があるのかが重要な問題になってくる。この問題に対する解答によって、集合動産譲渡担保権の実行時に、担保目的物の担保価値がまったくないという事態が生じるおそれがあるからである。
 この問題を解決するために、集合物を組成するに至った個別動産に対して、集合動産譲渡担保権がどのような担保的支配力をもつかを検討することが不可欠である。

ア)構成部分説(判例)
 「構成部分の変動する集合動産であっても、……一個の集合物として譲渡担保の目的とすることができる」(最判昭和54年2月15日)と解し、譲渡担保の目的物が集合物自体であり、集合物を経済的だけでなく法的にも一個の物と解する。また、集合物とこれを組成する個別動産がいかなる法律関係に立つかという点について、個別動産は集合物の構成部分としてこれに結合すると解する。

イ)価値枠論
 集合物に組み入れられた個別動産が担保権の目的物となりながら、その流動性が認められる集合動産譲渡担保の特色を重視して、個別の動産は一個の物として独立性を有するだけでなく、集合動産譲渡担保の実行などで個別動産の流動性が失われるまでは、集合物を構成する個別動産に対して集合動産譲渡担保権の効力が当然に及ぶわけではないと解する。
この見解によると、譲渡担保権の実行ないし実行準備によって流動性が失われるまでは、個別動産は集合動産譲渡担保権の拘束を受けることがなく、個別動産は集合物内に存在する限りにおいて担保価値を形成する可能性を持つに過ぎないと解する。

ウ)伝統的集合物論(通説)
 「利用せしむる者(債権者)の所有権は集合物の上に成立しているのであるから、ここの物については集合物に帰属する関係においてのみ効力を及ぼしている。利用者が集合物の経済的使命に従って利用するためにここの物を処分する関係においては、このここの物は最初から集合物の所有権の効力外に存在する。……右が如き集合物の利用関係においては、集合物としての所有権は利用せしむる者の許に止まり、処分せられる関係におけるここの物の所有権は借主(設定者)に移転するという……中間的関係を生じる」(我妻)というように、集合物が一体として担保の目的物となっていると解しつつも、個別動産の法的独立性を肯定する見解。集合物の組成物=個別動産は設定者に属し、集合物は集合動産譲渡担保権に属する、つまり両面的に属すると解する。また、集合物内に存在する個別動産について、それが集合物内に存在する限り、譲渡担保権の実行前であっても、集合動産譲渡担保権の効力及びその対抗要件が個別動産に対しても当然に及ぶと解されている。しかし、個別動産が集合物から分離・離脱しても個別動産に集合動産譲渡担保権の効力が及ぶかどうかについては必ずしも明らかではない。

 構成部分説では、設定者が個別動産の円滑な流動化によって通常の営業を行い、集合動産譲渡担保権者は債権回収に努めることができるとする集合動産譲渡担保権の特色に反している。また、価値枠論によると、個別動産の流動化を認めすぎてしまい、担保目的物の担保価値の維持を図ることが難しくなってしまう。
 そこで、伝統的集合物論に依拠しつつ、集合譲渡担保権者と譲受人の利益の調和を図っていきたい。

Ⅳ-2 集合動産譲渡担保権者と譲受人との関係

本判決で最高裁は、「対抗要件を備えた集合動産譲渡担保の設定者がその目的物である動産につき通常の営業の範囲を超える売却をした場合、当該処分は上記権限に基づかないものである以上、譲渡担保契約に定められた保管場所から搬出されるなどして当該譲渡担保の目的である集合物から離脱したと認められる場合でない限り、当該処分の相手方は目的物の所有権を承継取得することはできないというべきである」としている。このように最高裁は、まず通常の営業の範囲内と範囲外の処分に分け、範囲外の場合に集合物からの離脱が必要であるとするが、それ以外の要件(主観的要件など)についても要求しているかどうかは定かではない。通常の営業の範囲外の処分の場合、学説の多数は譲受人の主観も問題にしているため、ここでも譲受人の主観的要件も検討していきたい。

(1)通常の営業の範囲内の場合

 通常の営業の範囲内において個別動産が処分された(以下、適正処分とする)場合において、学説は共通して①集合動産譲渡担保権に追及力はなく、②個別動産の譲受人は集合動産譲渡担保権の負担のない所有権を取得すると解している。つまり、集合動産譲渡担保を非占有担保の一種であることを根拠として、通常の営業の範囲内でなされる処分を、集合物管理権の一内容あるいは集合物の利用権能の一種として、設定者に処分権限が与えられていると解する。

(2)通常の営業の範囲外の場合

(A) 設定者の処分権限の範囲外で処分がなされた(以下、不適正処分とする)場合でも、設定者に処分権限があると解するべきか
 不適正処分が無効であると解すると、個別動産を譲り受けようとするものは取引時に設定者の処分権限をいちいち調査しなければならなくなり、迅速な取引を必要とする動産取引の実態にそぐわない。また、個別動産は設定者の占有下にあり、しかも個別動産の所有権は設定者に留まっているのだから、設定者による個別動産の処分権限が制限されているかどうかを第三者が知る事は必ずしも容易ではない。よって、この点を考慮して、不適正処分における処分行為も有効であると解した上で、集合動産譲渡担保権者に担保実行前においても担保価値を維持する手段を確保することが設定契約の当事者の意図に最も合致すると思われる。
 このように解するとしても、なぜ不適正処分の場合であっても処分行為が有効なのか、不適正処分の場合における設定者の処分権の根拠をどこに求めるかはなお問題である。そこで、伝統的集合物論の立場からは、設定者に帰属する個別動産の処分権は集合物所有権との関係では集合物管理権ないし利用権の一内容に過ぎないと説明する。しかし、不適正処分の場合には集合物の管理権・利用権の範囲を超えており、設定者の処分行為は無効と解するのが素直な解釈のように思われるので妥当でない。むしろ、設定者は個別動産の所有権を有しているのだから、その所有権に処分権の根拠を求めるべきであろう。

(B) 集合動産譲渡担保権の追及力
 不適正処分によって処分された目的物に対して集合上と担保権の効力が及ぶかどうかについて、集合物論者のなかにおいてすら見解の一致をみない。

① 処分され搬出されれば場所的関係を失う結果、集合物を構成しなくなるとして譲渡担保権の追求力を否定し、設定者の責任が生じるに過ぎないとする見解
② 集合動産譲渡担保権者と処分行為の相手方の利害の調整は善意取得によって調整すべきであるとする見解
③ 処分行為の相手方は個別動産の所有権を取得するが、処分行為の相手が悪意の場合には、設定者が目的物の補充義務を完全に履行しない限り、集合動産譲渡担保権者は譲渡担保の効力を主張できると解する見解
④ ここの動産は売却により当然に集合物から離脱し、これら動産に対して集合動産譲渡担保権の効力は及ばないと解した上で、集合動産譲渡担保権者の優先弁済件を阻止する意図で、当該動産を買い受けるなど、譲受人に積極的な外囲がある場合にのみ、集合動産譲渡担保権者は譲受人に対して不法行為上の責任を追及できると解する見解

このように、譲受人の主観的要件を基準に集合動産譲渡担保権の追及力の及ぶ範囲を規定しようとする見解が多数である。

Ⅳ-3 私見

 以上を踏まえた上で、私見を述べる。
 まず、集合動産譲渡担保権の追及力について考えたい。
個別動産が適正に処分された場合、学説は共通して集合動産譲渡担保権の効力はこれら動産に対して及ばないと解しているのに対し、不適正処分の場合には見解が一致していない。
学説におけるこの不一致は、適正処分の場合に集合動産譲渡担保権に追及力が認められない根拠がいまひとつ明確でない点にあるように思われる。通説が「設定者が集合物の経済的使命に従って集合物を利用するためにここの物を処分する関係においては、設定者の所有権に服するのであって、集合物の所有権の効力外に存する」と説明しているからである。ここでは、当該取引が適性処分であるということ、つまり設定契約の当事者の合意ないし設定契約の目的的解釈から導かれる合意的意思が根拠とされている。しかし、設定者の意思を根拠とするなら、不適正処分の場合には追及効を認めても集合動産譲渡担保権者の保護を図るべきであるという解釈もできるのではないか。

 そこで、以下のように解する。
 まず、通説が担保権実行前であっても集合動産譲渡担保権の効力は個別動産に対して及んでいると解することの理論的整合性からして、担保権実行前であっても、個別動産が集合物を組成していたものである限り、集合動産譲渡担保権の支配力は原則として集合物ないから分離・搬出された個別動産に対しても及んでいると解すべきである。これなら、設定者の処分行為を有効と解しても、集合動産譲渡担保権者の担保価値を維持することが可能であろう。
 そして、適正処分に対してはこう説明する。すなわち、原則として個別動産に対しても集合動産譲渡担保権は及んでいると解するが、適正処分については担保権の設定者間で担保権の効力をこの範囲では認めないという追及力を制限する合意があり、これによって適正処分によって動産の譲受人は集合動産譲渡担保権の負担のない所有権を取得するのである。
 これに対し不適正処分の場合にはこう説明される。不適正処分の場合には、適正処分の場合のような合意があるわけではないから、譲受人は当然に集合動産譲渡担保権の負担のない所有権を取得することはできず、原則どおり譲受人の取得した動産に対しても集合動産譲渡担保権が及んでいると解すべきである。したがって、集合動産担保権者は個別動産の分離・搬出を禁止することができ(妨害の排除と予防請求)、すでに集合物から分離・搬出された場合には、元の場所に復帰させるべき返還請求権を行使することができるものと解される。
 このように解すると、不適正処分の場合には譲受人は集合動産譲渡担保権の負担のついた所有権しか取得することができないので、譲受人の保護が問題になる。この点は、192条の即時取得によって救済すべきである。以下、詳細に検討する。

 192条によると譲受人には善意無過失であることが要求される。つまり、取引の相手方が無権利者であることについて善意無過失を要求している。これを譲受人についてあてはめると、譲受人は当該個別動産に集合動産譲渡担保権が設定されていたこと(当該個別動産が集合物を組成していたこと)につき善意無過失であることが要求される。この趣旨は上述したとおりで、譲受人が動産を取得するさいに当該動産に集合物動産譲渡担保権が設定されているかどうかの調査はかなり困難だからである。

 別の観点からも譲受人の保護を図りたい。
譲受人が取得しようとする物に集合動産譲渡担保権が設定されていることを知っていた(もしくは知りえた)が、当該売却行為が適正処分でないことにつき善意無過失である場合にはどうか。
この場合、譲受人は集合動産譲渡担保権が設定されていることは知っているもしくは知りえたが、当該売却行為が適正処分であると思うため、譲受人には通常の売却行為として受け取られる。やはりこの場合にも譲受人を保護すべきである。しかし、集合動産譲渡担保権が設定されていることについては善意無過失ではないため、192条を直接適用することはできない。
 思うに192条は取引の相手方が無権利者であるのに占有しているという外観を信頼した動産の取得者を保護するという、動産についての権利外観法理を定めた条文である。そこで、相手方が無権利であることというのを、相手方が当該売却行為について無権利である(つまり、通常の営業の範囲外である)ということにまで広げ、192条を類推適用して譲受人の保護を図るべきである。

なお、個別動産の離脱が必要であるかどうかであるが、Ⅲで述べたとおり占有改定による即時取得は認められないのであるから、個別動産が集合物から離脱し現実の引渡しを受けることまでが必要とされると解する。

 以上まとめると、譲受人の主観の態様として4つの分類がなされるはずである。

① 当該個別動産に集合動産譲渡担保権が設定されていたこと、かつ、当該売却行為が適正処分でないことにつき善意無過失である場合
② 当該個別動産に集合動産譲渡担保権が設定されていたことについては善意無過失だが、当該売却行為が適正処分でないことについては善意無過失でない場合
③ 当該個別動産に集合動産譲渡担保権が設定されていたことについては善意無過失ではないが、当該売却行為が適正処分でないことについては善意無過失である場合
④ 当該個別動産に集合動産譲渡担保権が設定されていたこと、および、当該売却行為が適正処分でないことについて善意無過失でない場合

千葉先生によると①のみを保護すれば足りるとしているが、私見では①②③を保護すべきと考える。
これは、集合物動産譲渡担保権自体があいまいなものであり、それに伴う不利益は設定者または集合動産譲渡担保権者が負うべきであり、第三者に対して不利益を負わせるべきでないという価値判断が働いているからである。

 このように、集合動産譲渡担保権者は占有改定によって集合動産譲渡担保権の対抗要件を備えるものの、常に第三者から当該個別動産を即時取得される危険性を有する。これを防ぐ手段として、集合物にプレートや看板などをつけることによって、当該動産を取得する第三者の悪意を推定させる方法が考えられる。


参考文献
本判決の評釈
道垣内弘人 金融商事判例1248号 1頁
丸山絵美子 法学セミナー637号 119頁
池辺吉博 NBL840号 4頁
田高 法学セミナー626号 80頁
佐伯一郎 銀行法務668号 44頁
片山 法学教室314号 106頁
渡部 金融法務事情1794号 30頁
         1795号 54頁

参考した書籍など
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内田貴 民法Ⅰ 総則・物権 東京大学出版会
    民法Ⅲ 債権総論・担保物権 東京大学出版会
近江幸治 民法講義Ⅱ 物権 成文堂
     民法講義Ⅲ 担保物権[第2版] 成文堂
船越隆司 担保物権法 尚学社
槇悌次 物権法その構造と機能 文眞堂
広中俊雄 物権法[第二版増補版] 青林書院祈社
千葉恵美子 判例タイムス756号
安永正昭 道垣内弘人 民法解釈ゼミナール②物権 有斐閣
道垣内弘人 現代民法Ⅲ 担保物権法 有斐閣

民事執行法関連
小室直人 民事執行法講義[二訂版] 法律文化社
山木戸克己 民事執行・保全法講義 有斐閣ブックス
内田武吉 民事執行・保全法要説[第二版] 成文堂
鎌田薫 加藤新太郎 須藤典明 中田裕康 三木浩一 大村敦志 民事法Ⅱ担保物権・債権総論 日本評論社




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2007.06.21 / Top↑
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