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いつも毒にも薬のもならない日記ばっかり書いてて、読んでる人に申し訳ないので、今日は毒にも薬にもならない法律トリビア書きます。


無銭飲食と詐欺罪

参照条文
(詐欺)
第246条 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

(窃盗)
第235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。


問題設定
次の各場合で、W~Zさんに詐欺罪その他の罪が成立するか。


①Wさんは、最初から無銭飲食をするつもりで、無一文で飲食店に入り、料理や飲み物を注文した。

②Xさんは、飲食店に入る時点では無銭飲食をするつもりはなかった。しかし、料理を食べ終わった後で、財布が空なことに気づき、困ったXさんは店のトイレの窓から逃げ出した。

③Yさんは、飲食店に入る時点では無銭飲食をするつもりはなかった。しかし、料理を食べ終わった後で、財布が空なことに気づき、困ったYさんは、店の人に「ちょっと駅に友人を迎えに行ってくる」と嘘を言って、そのまま逃げ出した。

④Zさんは、飲食店に入る時点では無銭飲食をするつもりはなかった。しかし、料理を食べ終わった後で、財布が空なことに気づき、困ったZさんは、店の人に「後で来る友人が払うから」と嘘を言って、そのまま逃げ出した。




解説


結論:1項詐欺罪
この場合、Wさんは「最初から」無銭飲食をするつもりだったのだから、料理を注文した時点で料理を客体とする1項詐欺罪が成立します。


結論:無罪
少し意外かもしれませんが無罪です。
Xさんは店員さんを騙してないから詐欺罪が成立する予知なし。
代金を払わずそのまま逃げているので、利益窃盗となりますが、利益窃盗は現行法上不可罰なので、やはり犯罪は成立しません。

cf.利益窃盗
財産上の利益の窃盗。本件のような無銭飲食や、情報窃盗がこれにあたる。電車で隣の人の新聞を覗き見ても窃盗罪にならないのが典型。


結論:無罪
これも無罪です。
料理を注文した時点では無銭飲食をするつもりはなかったのだから、この時点では故意がなく、詐欺罪は成立しません。
たしかにYさんは店員に嘘を言って店から逃げているのですが、店員がYさんを店から出した趣旨は「友人を見迎えに行くために支払いを少しの間だけ猶予する」というもの。店員はYさんの支払いを免除したわけではないのです。
そして、判例によれば、本件のような場合、店員さんに支払いの免除を認識することを要求しています(ただし学説上は争いあり)。
したがって、店員が支払いの猶予しか認識してない本件では詐欺罪は成立しないことになります。


結論:2項詐欺罪
料理を注文した時点で詐欺罪が成立しないのは③と一緒。
しかし、本件では③と違い、店員がZさんを店の外に出ることを許した趣旨は「あとから来る友人が支払いをするのだから、この人は支払いをしなくて良い」というもの。
したがって、本件では店員はZさんに対して支払いを免除していますから、Zさんは飲食代金を払わなくてよいという財産上の利益を得ていることになり、2項詐欺罪が成立するのです。


結局①と④だけが犯罪となります。
③は2項詐欺罪が成立するかどうかは争いがあるところです(判例によれば成立しないが、有力説によれば成立することになる)。
したがって、飲食店に入るときは、財布を確認せずに注文し(あくまで始めは無銭飲食をするつもりは無いことが重要)、会計の時にはトイレの窓から逃げれば犯罪は成立しないことになります。
これが合理的な行動。

が、そもそもこの記事を読んでから②の方法をやりに飲食店に入れば、いくら警察に「注文時点では無銭飲食するつもりはなかった」と言っても通用しないので注意しましょう(未必の故意くらいは注文時点で確実にある)。
また、②の方法を実行できる状況にあっても、店がビルの2階以上のところにあったりすれば逃げれないし、そもそもトイレにそんな大きな窓がある店は珍しいと思われるため、現実に実行するのはかなり難しいと思われます。

そしてこれが重要。
①~④の事例は、あくまで刑事上の責任が発生するかどうかを述べたものだから、どの場合であっても代金の支払い自体を免れることにはならないのです。
したがって、あとから見つかって請求されれば払わなければなりません。
刑事責任と民事責任は別ですからね。




最後に。
当然のことですが、本記事は無銭飲食を助長する趣旨のものではなく、あくまで理論上の帰結を示したものです。
犯罪が成立するかどうかはともかく、警察に見つかればめちゃくちゃ怒られます。あなたが学生なら、停学退学ありえます。社会人なら会社からの懲戒処分で解雇等もありえます。
絶対にやめましょう(というか実際にはできないって書いてあるけどね)。試すのもね。
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2010.11.23 / Top↑
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